発見者
2000年12月にアレクサンドロヴォ墳墓を発見したのは、ゲオルギー・キトフ博士(1943~2008年)が率いる考古学調査団です。別名「ブルガリアのインディージョーンズ」と呼ばれる考古学者は、古代・トラキア時代の遺跡を主な研究対象とし、それまでわずかだった生前トラキア文明に関する情報を大きく増す一連の発見するなど活躍しました。博士が発見した遺産には、ストレルチャ市近くのジャバ・モギラの墳墓、スタロセル村近くの墳墓兼ヘロオン、シプカ市付近ゴリャマ・コスマトカ丘のセウトス3世の墳墓で眠っていた、重量673gの王の黄金マスクなどを挙げることができます。
ゲオルギー・キトフ博士は、ソフィア大学歴史学科を卒業後、旧レニングラードで美術史を学び、帰国後はブルガリア科学アカデミー考古学博物館の学芸員となります。1977年に歴史学博士の学位を取得しました。1992年にブルガリア科学アカデミー博物館付考古学研究所の総会会長に選ばれました。1972年以降のTEMP(トラキア墳墓調査団)の創立者でもあります。トラキア時代の歴史、考古学、宗教学を研究分野とする論文は200本を超え、著書は数十冊にのぼります。本のごく一部を挙げると、『ヴァルチトランのトラキア遺宝』(1978年)、『トラキア王の宝』(1992年)、『トラキア王の谷』(2002年)、『セウトス3世の墳墓』(2004年)、『トラキア考古学入門』(2002年)、アレクサンドロヴォ墳墓(2009年改正版)などがあります。
2008年9月14日に、スタロセル村近くの調査現場で急死したキトフ博士は、自らの熱意や数々の大発見を後世に残しました。